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第八話 神様との約束
カー子に抱えられての時空移動。真っ暗闇なのはやっぱり怖いな。
「ミズサキ。涼子。帰る前にひとつ教えておかなければならないことがありマス」
「えー。今更なによ? ここで言うことー?」
「いや、もっと早く言うべきなんですけど忘れテテ」
「たくもー。それで、何よ?」
「地球に帰ったらマージの記憶はほぼほぼ消えますので。それだけ、ご了承下サイ」
「エッ」
「は? カー子とかキュキュのこと忘れるってこと?」
「はい、そうですネ」
「エッ、やだよ、ヤダヤダ。そんなのないよ」
「ちょ、暴れないで下さイ。危ないカラ」
「な、なんで。忘れるの?」
「そういう規則なんです。異世界での記憶は持ち帰ると混乱を招くカラと、私の代になる前から決まってたマージの法なんですヨ……。まあ、たまに消しきれない記憶もあったりしますケド」
「はー? 自分らは異世界文化で発展しようとしてるのにズルくない? これだから魔法使えるやつらはズルイのよ」
「それは……ミズサキの言う事も一理ありますネ」
「でも、翻訳魔法と怪力魔法はくれたじゃん。あれは私が忘れたらどうなっちゃうわけ?」
そうなのだ。私は最初の契約通り1つ魔法をもらうということで翻訳魔法を持ち帰ることにした。
涼子は『トマトジュース回復薬』を開発した事も評価され、2つ魔法を持ち帰ってよしとされたので翻訳魔法と怪力魔法を持ち帰ることにした。
「翻訳魔法は常時機能するように聞きたいなと思ったものが常に聞けるモードに設定してありマス。怪力魔法も同じで、力を出したい時に出るモードになってます。威力は控え目にして節約モードになってますから消費魔力値はそれほどではないハズ」
「カー子はなんでそんな大事な話を今までし
91.【遅番女子のミズサキ】エピローグ 麻雀伝道師ミズサキ その後、私はプロ雀士になり女流リーグで優勝。女流名人位も2回連続で獲ったわ。『白山シオリ』という凄まじい強敵もいたけど私はこの相手にも運よく勝ち越した。 そして数年後―― 私はかねてより考えていた事を行動に移す。「りょうちゃん。私、今年から師団のリーグ戦はしばらく休場するよ」「えっ?」「私、世界に行きたくて」「えっでも、現女流名人位なのにタイトルはどうするの?」「返上する。3回も獲ったらもう充分だし」 そう、私はどこの国にも行けるのだ。なぜなら翻訳魔法を備えているから。 ちなみに涼子はマージで見たあの固形詰め替えシャンプーを作ってみたら大当たりして一気に小金持ちになった。すると、涼子は「あのアイデアをノートに書き記したマコトの手柄でもある」と言い、私に充分な分け前を用意してくれた。なんていい奴なんだろう。おかげで旅費には困らない。(光で起こす目覚まし時計は調べた所もう地球にも存在していた) 驚いたのはこうなる事を涼子は読んでたみたい。いや発明で大当たりすることの方じゃなくて私が世界を旅することの方ね。「まァね、そろそろ言い出すんじゃないかって思ってはいたんだ。世界行きたいって」「えええ?! この展開って読めないでしょ?!?!」「いや、読める。というのも、私たち、翻訳魔法を持ち帰ってるわけだから世界中回れるじゃん? だから世界で麻雀を教える麻雀伝道師になるんだなとマージにいる時から気付いてたよ。だからさ、私はいつでもマコトを守ってあげれるようにと思って怪力魔法ももらったの。護衛は必要でしょ、世界中回るならさ」「すごい読み……」 てか、また付き合ってくれるんだ。それが何より嬉しかった。でも、いいのかな。世界中回るってことは虫もたくさんいると思うけど、りょうちゃん虫苦手だったよね……。────── というわけで、私たちはいまシンガポールに来ています。(涼子のためになるべく綺麗な国を渡り歩くようにした) シンガポールの人口は四分の一が中国の人なの。だから麻雀が好き、とか麻雀戦術を教えて欲しい、という人もたくさんいるはず。 世界中で麻雀を教えて、本物の麻雀伝道師に早くなりたいな。 それが叶った時。また呼んでくれるって、そんな約束があったような……なかったような……
90.最終話 私たちのチャレンジスポン!ドシッ ドン ドン「いたたた。勢いよく落ちたからぶつけちゃった。懐かしの地球の重力ね」「畳の部屋? あ、ここマコトの部屋か」「カー子は?」「もういないよ。あっという間。別れの挨拶くらい交わしたらいいのに」「マージは挨拶する習慣がほぼないからね。そうだ、記憶が消えないうちに覚えてること紙に書いとこうよ」「えっと、まずジャガとネルが仲間にいて……」「まって。ジャガとネルってフルネームなんだっけ?」「エッ」「ほらもう記憶消えてきてるよ。怖い怖い怖い」「えっと……ジャガビーとネルフじゃなかったっけ?」「何となく違う……ような。合ってるような。わかんない!」「使徒の名前した人もいたでしょ。ぬいぐるみみたいな」「ユダ! ではないか……。うそだよ、もう全然思い出せない」「! そうだ、ノートに色々書いたじゃん! あれ読めばいいんだよ!」 ノートにはクリポン族のマタイさんと書いてあった。マタイ。全然ユダじゃないじゃん。ヤバいなこれ。 私は忘れちゃう前に異世界で見たこと聞いたこと、色々なことをノートに走り書きで追加した。りょうちゃんのお尻は大きいりょうちゃんは着痩せするパコッ「痛っ!!」 部屋用のスリッパで叩かれた。いたい。「いらんことばかり書くな!」「冗談だよ、ぶつことないじゃんか〜」りょうちゃんは私の
89.第八話 神様との約束 カー子に抱えられての時空移動。真っ暗闇なのはやっぱり怖いな。「ミズサキ。涼子。帰る前にひとつ教えておかなければならないことがありマス」「えー。今更なによ? ここで言うことー?」「いや、もっと早く言うべきなんですけど忘れテテ」「たくもー。それで、何よ?」「地球に帰ったらマージの記憶はほぼほぼ消えますので。それだけ、ご了承下サイ」「エッ」「は? カー子とかキュキュのこと忘れるってこと?」「はい、そうですネ」「エッ、やだよ、ヤダヤダ。そんなのないよ」「ちょ、暴れないで下さイ。危ないカラ」「な、なんで。忘れるの?」「そういう規則なんです。異世界での記憶は持ち帰ると混乱を招くカラと、私の代になる前から決まってたマージの法なんですヨ……。まあ、たまに消しきれない記憶もあったりしますケド」「はー? 自分らは異世界文化で発展しようとしてるのにズルくない? これだから魔法使えるやつらはズルイのよ」「それは……ミズサキの言う事も一理ありますネ」「でも、翻訳魔法と怪力魔法はくれたじゃん。あれは私が忘れたらどうなっちゃうわけ?」 そうなのだ。私は最初の契約通り1つ魔法をもらうということで翻訳魔法を持ち帰ることにした。 涼子は『トマトジュース回復薬』を開発した事も評価され、2つ魔法を持ち帰ってよしとされたので翻訳魔法と怪力魔法を持ち帰ることにした。「翻訳魔法は常時機能するように聞きたいなと思ったものが常に聞けるモードに設定してありマス。怪力魔法も同じで、力を出したい時に出るモードになってます。威力は控え目にして節約モードになってますから消費魔力値はそれほどではないハズ」「カー子はなんでそんな大事な話を今までし
88.第七話 奇跡は努力の先にある「ミズサキおめでとゥ! さすがは私が見込んだトッププレイヤーデス!」「ありがとう、カー子」「いやおれは納得いかねえよ!」「ジャガフ……だよねえ。私もあまり納得はしてないし。あなたの方が強かったよ」「ふん、冗談だよ。やっぱ強えよミズサキは。これは結局ミズサキの強さあってこその勝利だったっておれだってわかってる。悔しいけどな」「そんなことはないよ」「いや、ジャガフの言う通りヨ。これ私だったら南3局にノーテンで終わってたモン」「僕も、それにオーラスのあれ、テンパイだって即認識するのもすごいよ。親が切った第1打は選択が早かったし、僕ならアワアワしてるうちに南家が切って進んじゃったかもしれない」「みんな優しい。こんなのツイてただけだってば」「マコトはそう言うけどさ。でも、全ての奇跡は努力の先にあるものよ。今日のこの大会。いや、ここに至るまでの日々。全ての日を、私がダラダラ生きてる横でマコトは必ず全力出してた。あなただから掴み取れた奇跡なの。すごいよ、マコト。あなたの存在は私の誇り」 涼子がそんな事言うから私は目頭が熱くなってきた。こんな、胸熱な話になるような勝ち方だったっけか。こんなんマグレなんですけど。 ……まあ、マグレでもマグロでもなんでもいいや。とにかく私は勝ったんだ。「うん。ありがとう。みんなありがとう」 大会終了――「ミズサキさーん。麻雀教えてー」 終わったら教えてあげると約束した子供たちが駆け寄ってきた。「うんうん。教えてあげるよ。お母さんがむかえに来るまでね。ネルビイもジャガフも来なよ。あなたたちが私の代わりに教えてあげれるようになって欲しいんだから」「そういうことなら」と2人
87.第六話 自分最強だって信じてる ついに決勝戦オーラスだ。全員の持ち点は涼子 32500マタイ 15800ミズサキ 200ジャガフ 51500 と、こう。つまり私はほぼラス。マタイさんから満貫直撃でやっと三着ってそんなの無理っしょ。リーチ棒も持ってないのにさ。ま、リーチしたらしたでマタイさんからは出るはずないからなんにしても詰みよね。ジャガフの優勝はほぼ決まり。涼子が頑張ってるって言っても19000点差。ハネツモでも届かないのはもはや完全にセーフティリードだ。ジャガフはこのオーラスの親を一局消化して終わればいい。 たのしかった。本当に。この世界に呼び出されて良かった。「りょうちゃん。たのしかったね。私ここに来れて良かったよ」「決勝卓にってこと?」「アハハ。まあ、それもあるね。とにかく良かった。でも、心残りもあるよ。麻雀だし仕方ないんだけど、でも麻雀は実力差が出るゲームでもあるってこと証明してみせたかった。自分の勝利によってそれを見せつけたかったな。それが叶わないのが、私には心残り」「傲慢な考えね。マコトらしくもない。そんな考えも持ってたんだ」「本音を言うとね。私は自分最強だって信じてるからさ。私は遅番女子のミズサキだよ? 負けるわけない!」「ま……そんくらいの気持ち持ってなきゃピン雀の遅番なんてやれないよね」「そゆこと」 そんな話を少ししてからオーラスを開始した。 すると……オーラス流れ二本場ミズサキ配牌 ドラ北2六⑨552中西中七七六⑨(ん!?)&nb
86.第伍話 麻雀の仕組み(麻雀の仕組みってどういうコト?)(つまりさ、ハイテイ牌は鳴けないっていうルール。これをよく理解してるってこと。もしこのチーをしないとしたらどうなる?)(エートぉ、ミズサキの手牌は【三四伍③⑤13555789】だったから③④⑤1234引きでテンパイよネ。切られてる枚数を無視すると7種24枚)(そうだよね。4枚受けが3種で3枚受けが4種だから数えやすいね。3×4×2だからね。じゃあミズサキみたいに鳴いた場合はどうなる?)(ンとね。鳴いたからツモ番飛ぶけどハイテイがもらえるから結局ツモ番1回でしょ? 三四伍③⑤35557は④3467の5種18枚。アレ? 6枚チャンス減ったヨ?)(そうだね、だけどチーができるようになった)(ソッカ! 上家の切りがハイテイ牌じゃなくなったから④46の3種12枚がチーでもいい!)(なるほどそうか! そうなるとチャンスが6枚増えてるんだ。すごいな)「チー」打3 ――流局――「テンパイ」「テンパイ」「テンパイ」「テンパイ」ミズサキ手牌三四伍③⑤55(チー657)(チー789)「見事だな。さすがは麻雀伝道師」「でも、全員テンパイじゃん。頑張ってテンパイとったのに1点ももらえないなんてトホホだよ」「マコト。それはみんな同じ思いだよ。私だって少しくらい加点したかったよ。ずっと張ってたのにさ」「おれなんか役役ホンイツトイトイのツモり三暗刻で倍満のテンパイさせたんだぞ。これが0点で終わりってのはむなしいぜ」「そっか」 南3局一本場 一本場は逆に誰もテンパイが入らなかった。全員が全力で前進したがテンパイしない。結果。「ノーテン」「ノーテン」「ノーテン」「ノーテン」 マタイさんには普通にやればテンパイする手が来たが残り2局で普通にやっても仕方ないということで純チャン二盃口を目指したためのノーテンだった。さすが、遅番客No.1強者。スケールがでかい。「ふ、私の強運もここまでか」「だけど、飛んでないじゃん」「まァね。オーラスまでお客様を遊ばせるという従業員の使命は全うしたつもり」「そんな使命があったんだ」「いや、ないと思う。ゲームの回転悪くなるし店としては良くない。けど、お客様からしたらどうかな。トップの人はいいけど二着三着は面白くないよね。まして店の人が飛んで終わっちゃったと